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Introduction |
今回,新しく開発した3Frカテーテルの普及を目指し,サイトを立ち上げることにしました.皆様の情報源として少しでも役に立てればと考えております.
現在,多くの施設では4Frカテーテルを用いた冠動脈造影が行われております.当院では,4Frカテーテルが市販されるようになった早い時期から,Femoral approachでの4Frカテーテルを用いた冠動脈造影を行ってきています.平成8年(1996年)5月に,国内各社の4Frカテーテルが出そろった段階で,シースを含めた4Frカテーテルの評価を行いました.メディキット,コーディス,テルモ,ファンサック,ゲッツ,インターベック,グッドテックの合計7社の4Frカテーテルを評価したのですが,まだ4Frカテーテルは開発されたばかりで,冠動脈造影時にはずれたり,エンゲージそのものができない場合も多々ありました.また,今となっては笑い話ですが,同じメーカーの4Frシースに4Frカテーテルがきつくて入らないなどという信じられないこともありました.その後,各メーカーは改良に改良を重ね,現在では多くの5Frカテーテルの内径と同じ内径を持つ4Frカテーテルが開発されるに至り,冠動脈造影の分野では,4Frカテーテルは完全に市民権を得るまでになりました.この間約8年の期間を要したことになります.
現在使用されている4Frカテーテルは公称"4Fr"となっておりますが,実際の外径は4.3Frとなっています.これに至ったいきさつを述べたいと思います(事実と異なる場合には是非ご連絡下さい).4Frカテーテルが開発された初期の頃には,左室造影の注入速度(ml/sec)を従来行ってきた注入速度と同等に確保するかが大問題でした.注入圧はインジェクターと回路の耐圧で制限されますので,カテーテル内径をいかに大きく確保するかが鍵となりました.カテーテルの壁の厚さには製造上の制限があり,またあまり薄くすると離断してしまう危険があります.そこで,少しでも外径を稼ごうと市販されているシースにかろうじて挿入可能な4.3Frサイズのpigtailカテーテルを各社が作ったのだと思います(真相は不明です).特に4.3Frのコーディス社のpigtailカテーテルは操作性,造影能ともすばらしく,このカテーテルならば4Frカテーテルは使い物になるーと思わせるものでした.この4.3Frのカテーテルが入らないシースは事実上市場から閉め出され,4.3Frを許容するシースのみが残り,これらのシースに入る最大の外径が事実上の4Frカテーテルの外径のdefault standardとなったのだと思います.
今の3Frの状況は,8年前の4Frの状況といろいろな意味でそっくりであると思います.なぜそんな細いカテーテルが必要なのか?左室造影が十分に評価できないじゃないか.こんなに使い難いものをわざわざ選ぶ必要があるのか?などなど,これらはすべて4Frカテーテルが出始めたころに言われたことです.この8年間の技術の進歩はすさまじく,おそらく4Frカテーテルが市民権を得るのに要した時間よりも早く3Frカテーテルは浸透するものと確信いたします.
実際,3Frを使用すると,止血が極めて容易で,専用の止血ディバイスも不要と思わせるものがあります.また,多少のradial arteryの狭窄があっても検査を行うことができます.さらに透析用の穿刺針とほぼ同等の太さであり,繰り返しの検査も問題なく行えることも大きなメリットとなります.その他にもたくさんの長所があるものと思われますが,今後明らかとなると思います.
3Frカテーテルを導入するにあたり本サイトが皆様のお役に立てればと考えております.
最後まで,読んで頂きありがとうございました.
2005年1月3日記載